ブランド・ブランディングとは?
弊社が2012年に農業デザインを始めた頃は皆無でしたが
ようやく昨今農業界隈でもこの言葉が語られるようになってきました。
ではまずブランドと聞いてどのようなものを想像しますか?
LOUIS VUITTONやベンツなどでしょうか。
それらはいわゆる高級(ラグジュアリー)ブランドです。
「ブランディング=高級」と考えている方が多いですが
しかし毎日食べる農産物にそんな高級感は必要でしょうか?
毎日の食卓に高級感は必要?
弊社にご依頼いただく農家さんからは
「高級感を出したい!」という要望が多いのも事実ですが
自分が消費者になってみてください。毎日毎日高級品を買いますか?僕には買えません。。。
もちろん、品質の高さや安全性などの信頼感は必要ですが
行き過ぎた高級路線はやはり売れない商品になります。
(ただし、加工品などのスポット商品の場合は高級感も必要な場合も
あります。詳しくは動画で!)
では、ブランディングは必要ないのでは?
と思われるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
そもそも「ブランド」という言葉の語源は
古ノルド語で『焼印をつける』という意味なのです。
自分たちの家畜を出荷するときに、他の農場のものと見分けるためです。
つまり、ブランドという言葉は農業・一次産業分野から生まれた言葉なのです!
しかし現在の日本においてブランドという言葉や概念を
一番失ってしまっているのが農業分野です。。。
その原因の一つは
自分たちの名前や商品の特徴をしっかり謳って商いをしてこなかったからかもしれません。
農園や個人、商品の特徴で売るのではなく、
基準さえ満たしていれば誰がどの様に作ったかなどは重要ではない。
みかんなら「みかん」と一括にして市場に出荷をしておけば売れたからです。
その仕組はとてもメリットが大きく一つの答えだと思います。
否定はいたしませんし寧ろ素晴らしいシステムだとも思っています。
しかしこれからはその売り方だけに頼っていると、
高い生産能力を備えた大規模法人や、
品質向上が著しく且つ安く大量に生産できる海外産に負けてしまうかもしれません。
個々の農家が生き残っていくには「独自性」を作り、選ばれることが必要です。
他者との違いさえ作ることができれば市場出荷でも個人販売でも生き残っていくことが出来ます。
その独自性を作っていく作業をブランディングと言います。
つまり、ブランド=高級品ではなく、ブランド=独自性なのです。
そして出来上がったブランド(独自性)を
どのような手段で伝えていくかを考えることがマーケティングなのです。
デザインはその手段の一つ、というわけです。
これに成功したからこそLOUIS VUITTONなどは選ばれるのです。
高級品だから選ばれるのではなく、独自性があるから選ばれるのです。
農家・農園にロゴマークは必要か?
結論から言うとロゴがあるからと言って商品が売れるとは限りません。
しかし、ロゴは必ず必要です。
例えば売り場に知らないロゴだけが表記されている瓶詰めが並んでいるとします。
皆様はそれを見て食べたい!と思うでしょうか?
大多数の人は、中身がわからないので食べたいとは思はないはずです。
それよりも「フレッシュないちごをたっぷり使ったジャム」など
説明が表記されている方が買いたいと思いますよね。
そうです「知らないロゴを見ても買いたくならない」のです。
しかし繰り返しですが、だからといってロゴが不要だ、ということではありません。
むしろブランド・エクイティ(資産)の中でも
「ネーミング」の次に重要なのがロゴになります。
ロゴってどんな役割を果たすもの?
一言で表すとそれは「コンパス(方位磁石)」です。
「誰に、何を、なぜ売るのか(提供するのか)」
「自分たちがどこへ向かっているのか」これを指し示すコンパスです。
事業活動をしていると毎日のように迷います。
どの方向へ行けば自分たちが描いている未来へ続く道なのかわからなくなることばかりです。
そんな時にしっかりと方向を指し示してくれるのが
コンパスであるロゴなのです。
それでは詳しく実例でご説明いたします。
松田果樹園⁺様の事例
弊社でブランディングをさせていただいた松田果樹園⁺様の事例です。
奈良県天理市で36代続く柿農家の松田果樹園⁺様との出逢いは、
柿の出荷袋に貼るシールでした。
直売所に何もアピールせず出荷していたが、
他の生産者との違いを伝えることができず、値段で勝負するしかありませんでした。
そんな時、弊社を見つけていただき、オリジナルデザインのシールをご依頼いただきました。
シールを使っていただくと、他の生産者の柿よりも売れ、売上が年々上がってきました。
次のフェーズとして通常の柿だけではなく、
贈答用の大玉一つひとつに「お墨付き」という意味合いで農園名の金シール貼りました。
少しずつお客様の頭の中に「松田果樹園⁺」というブランドが出来上がってくると
既製品のダンボールでは自分たちのブランドが伝わりません。
そこで松田果樹園⁺としてのオリジナルデザインダンボールを作ることになりました。
ここまで来るといよいよ農園ロゴが必要になります。
改めてヒヤリングをさせていただき、ブランディングをし
導き出した答えは「柿」でした。
果樹園ですので柿以外もキウイや八朔なども作っております。
さらにジェラートやジャム、ドライフルーツなど加工品生産も始まりました。
とても評判で百貨店や有名店との取引も始まりました。
こうなってくるとあれもしたい、これもしたいと迷いが生じ始めます。
しかし、それでは「おいしい柿を育てて食べてもらいたい」という
いちばん大切な思いを忘れてしまいます。
大切なのは
●誰に、何を、なぜ売るのか(提供するのか)
●自分たちがどこへ向かっているのか
なのです。
松田さんからこういうお言葉をいただきました。
これがロゴの役割なのです。
ロゴマークを作成にあたり弊社で大切にしているポイント
未来が見えないのは、企業も個人も同じです。
先が見えないということほど不安なものはありません。
「自分たちが何処へ向かっているのか?」「何故、そこへ行くのか?」
その答え【理念】や【想い】を【目に見える形】にしたものがロゴマークです。
つまり、見た目のカッコ良さやオシャレさだけ
個人の主観や好き嫌いでイメージを作ってはいけません。
誰のもの?
外へ向けてのアピールだけ、と考えがちなロゴマーク。
もちろん、それも大切な役目ですがもう一つ、ロゴマークには大切な役目が有ります。
「私たちは、この方向を目指しているんだ」と自分たちの目標となるコンパスです。
会社やグループ、ブランドがどの方向を向いて歩んでいくのかが共有できてこそ、パワーになります。
その目的地を指し示すのがロゴマークなのです。
白地図ではなく、宝の地図なんです。
流行りを追わない
デザイナーの多くは【カッコいい】が好きです。
カッコいいという観念はどうしても個人的な主観や流行りの中にあります。
ロゴマークは50年、100年先を見ます。
今の流行りを追ったデザインだと1、2年も保たずに倒れてしまいます。
ずっと先を見たデザインが大切です。
いきなり絵を描かない
CI・ロゴ開発で大切なのはいきなりスケッチなどをしないことです。
まずは、言葉で考えます。キーワードを拾い集めます。
絵を描くのはそれからです。
弊社で行うプロセスをご紹介します
上記が多ままかな流れとなります。
修正は回数制限なしに行いますので
遠慮なく想いをぶつけてください。
それらにより全体のスプロセスが変わる場合もありますが
長く使っていただくものですので、
じっくりデザインを作らせていただきます。