段ボール箱 人柄・世界観表して <朝日新聞連載 第16回>

朝日新聞さんで2023年より連載をさせていただいております、
【農業をデザインする思考】がなんと朝日新聞さんのご厚意でnoteやこちらのHPでも読めるようになりました!!
朝日新聞和歌山欄で発表した後、noteやこちらのHPへも記事を掲載してまいります。
ただ、朝日新聞さんのご依頼で執筆しておりますのでまずは朝日新聞さんで公開します。そのあと、少し時間を置いてからnoteやこちらのHPへ掲載、という流れになります。もし続きを早く読みたい!!という方はぜひ和歌山県のあなたは朝日新聞の購読を、他府県にお住まいのあなたはweb版の購読をお願いいたします!
では、前回の続きをどうぞ!

前回よりパッケージデザインの実践編としてシールのお話をいたしました。
今回は③ダンボールのお話です。

 今回もデザインのお話に入る前にまたコストと技術面のお話をしたいと思います。
ダンボールも袋と同じく「刃型代金」「版代金」「ロット数(数量)」をしっかり考慮しないといけません。
 コストの考え方は前回の袋と同じでなので割愛し、技術面のお話をいたします。
ダンボールの印刷方法としてはフレキソ印刷とオフセット印刷の2種類があります。

 フレキソはハンコを作成して印刷します。赤🔴のハンコ、緑🟢のハンコ、というイメージで版代金がかかります。
さらに使用できる色も決まっていたり、ハンコなので細かすぎるデザインには不向きだったりします。
しかし比較的小ロットでの印刷ができます。

 オフセットというのは家庭用プリンターの業務版、というイメージで良いかと思います。
フルカラーの印刷や細かなデザインが可能です。しかし厚みにより直接段ボールに印刷できない場合があり合紙で対応します。つまり別の紙に印刷をし、それをダンボールに貼るのです。さらにロット数も大きくなります。
こういった技術やコスト面をしっかり踏まえた上でデザインを作らないと、いざデザインを作っても「製造できない」という事態に陥ります。かくいう僕も最初は知りませんでしたので苦労しました。

 さて、あまり技術的な話ばかりでは面白くありませんので、デザインのお話です。
少し抽象的になりますがダンボールは「送ったら終わりではなく、送ってから(お客様に届いてから)が始まり」だと僕は考えています。中身が何かわかり、売り場やお客様のもとに、無事に届いたらいいんだ、と考える人が多いですがそうではありません。

 近年EC(インターネット販売)が活発になり、生産者の皆様が直接お客様に商品を送ることがとても増えてきました。皆様が作った商品がお客様の手に届く瞬間、その瞬間に立ち会うのは商品ではなくダンボールなのです。ダンボールは皆様の人柄や世界観を表したものになっていないといけません。つまりダンボールとは守って運ぶだけの箱ではなく【コミュニケーションツール】なのです。したがってパッケージデザインなのです。

 農家ロゴ|農園ロゴ|ダンボール|みかんのみっちゃん農園

しかし段ボール箱にしっかりと力を入れている生産者をあまり見かけません。どこの産地でも大体同じような共通のデザインを使用していることが多いです。もちろんコストがかかることですので、誰も彼もオリジナルのデザインにしましょう、というのは無理があります。しかし、繰り返しですがダンボールはお客様が皆さまの分身である商品と最初に触れ合うものです。それが皆と同じ既製品で良いでしょうか?特にECの場合、お客様は皆様のwebサイトやSNSなどを見て、考え方や商品、世界観に共感したから購入したのです。しかし届いたものが無地の段ボールであったり、よく見かける特徴のないデザインだったとしたら。皆様だったらどう思いますか。僕なら「あれ?荷物が届いたけれど、何を買ったっけ?」と思ってしまいます。お客様とのコミュニケーションが始まったばかりなのに、その出会いが台無しになってしまうのです。

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