コスト高い袋印刷 計画入念に <朝日新聞連載 第15回>

朝日新聞さんで2023年より連載をさせていただいております、
【農業をデザインする思考】がなんと朝日新聞さんのご厚意でnoteやこちらのHPでも読めるようになりました!!
朝日新聞和歌山欄で発表した後、noteやこちらのHPへも記事を掲載してまいります。
ただ、朝日新聞さんのご依頼で執筆しておりますのでまずは朝日新聞さんで公開します。そのあと、少し時間を置いてからnoteやこちらのHPへ掲載、という流れになります。もし続きを早く読みたい!!という方はぜひ和歌山県のあなたは朝日新聞の購読を、他府県にお住まいのあなたはweb版の購読をお願いいたします!
では、前回の続きをどうぞ!

 前回よりパッケージデザインの実践編としてシールのお話をいたしました。今回は②袋のお話です。
 無地(透明)の袋を使用している人は前回お話したシールを貼ったり、紙ラベルを袋の中に入れてアピールされているかと思います。しかし、年間の出荷量が増えてくるとシールを貼ったり紙ラベルを入れたりするのはものすごく手間がかかり大変です。そこで袋に印刷をする、ということになります。
 デザインのお話に入る前に少しコストと技術面のお話をしたいと思います。袋へ印刷する場合、「刃型代金」、「版代金」「ロット数(数量)」をしっかり考慮しないといけません。

 まず、フィルムを袋の形に切り出すために刃型が必要になります。
これはサイズにより金額が変動し、数万円かかります。
 そして版代ですが、これは版画をイメージするとわかりやすいかと思います。作ったデザインを色別に版にして印刷します。例えば赤🔴、黄🟡、青🔵の3色のデザインですと、版が3枚必要になります。これもサイズで変動しますが1色につき数万円になります。
 そしてロット数ですが、最低(最小)ロットがあります。印刷所さんはフィルムをロールで購入し、その1本のロールから、何枚の袋が切り出せるのか?で1枚の単価を計算します。したがって袋の数量が少なければ少ないほど、1枚の単価が高くなります。これも袋のサイズによって変動しますが、みなさんがよく使うサイズの袋ですと、だいたい1本のロールから3万枚ほどの袋を作ることになります。つまり年間出荷量が3万袋以上でないとコストが合わない、という計算になります。

 しかも初期投資として「刃型代金」「版代金」が必要になりますので、かなり大きなお金が出ていくことになります。さらにもしデザインを修正したい、となった場合は新たに「版」を作り変えますのでまた初回と同じ料金の版代金が必要になります。(これはシールも段ボールも同じです。)

 
 では、今度はデザイン面でのお話ですが「色」と「面積」を意識します。
まずは「色」についてです。袋は透明ですので色を塗っても透けてしまいます。イメージしやすいのは、折り紙に入っている赤や緑のセロファンのような感じです。透けないようにするためにまず白⚪️を塗ります。その上に色を乗せると透けません。つまり袋印刷ではかならず白⚪️版1色が必要です。さらにJANを入れる場合は黒⚫️がベストですので黒も必要になります。これでもう白⚪️と黒⚫️の2色(2版)です。さあ、ここに赤🔴、黄🟡、青🔵と足していくと一気に予算が膨らんでしまう。

 それらを踏まえたうえで、いちばん大切なポイントである商品の色を考慮してデザインします。例えばニンジン🥕ならニンジン🥕の濃いオレンジ色に重ねたときに映える色味でないといけません。
 最後に面積。袋に印刷の場合シールや紙ラベルと違い、袋全体にデザインを施すことができます。そうするとあれもこれもと詰め込んでしまったり、目立たせるためにベタ塗りの面積を沢山取ってしまったりしてしまいがちです。それだと商品が隠れてしまいます。中身の見えない(わかりにくい)ものは、なかなか買いにくいです。
 といった具合に袋にデザインをするという場合、紙への印刷との違いを理解し、しっかりと計画を立てておかないと後で大変なことになってしまいます。

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