今回お話するのは、
2016年、Can★Doさまの全商品の中で売上1位を達成!
1年で入れ替わる100円shopの売り場で2025年現在でも売れ続け
昨年末にはヒルナンデスにも出ていたようで。
毎年のようにSNSで大バズリする
(2024年は22万♥いいねもらってました)
この【メラミンおばけスポンジ】です。
さらに香港主催のアジアデザインAWARD(DFA)も受賞するという
そんなとんでもない脅威の化け物(おばけだけに👻)を送り出した
弊社はりまぜデザインの
【ヒット商品の生み出し方】の極意を
初期設定資料やモックアップも踏まえて本邦初公開!
商品開発やデザイン作成のご参考にしてみてください!
とにかく【売り場に立とう!】
事件は会議室ではなく現場で起きているように
答えは売り場にしか無い!
例えばお買い物をするために100円shopや3COINS
無印やホームセンター、スーパーに行くとします。
その時あなたは売り場で何をしますか?
多分、普通にお買い物しているだけじゃないでしょうか。
それじゃだめです!
答えは売り場にしか無いのですよ!
ですので、よくよく目を凝らして売り場を見てみてください。
●どんな商品が並んでいるのか?
●どんな陳列方法をしているのか?
●どんな人が買っているのか?
など、この他にもたくさんのヒントがあります。
このようなことを調べるために売り場に行くことを僕は
マーケティングリサーチ(MR)と呼んでいます。
商品のアイデアを出したりデザインを作ったりする場合すぐに
机の上で考えたり絵を書いたり、ネットで調べたりしてしまいますが
まずは【売り場】です。
売り場へGO!です!
そして普段から売り場をチェックする癖をつけてみてください。
普段からチェックしておかないと、いざというときに慌てて売り場を見ても
「その時」だけしか見えません。
普段のお買い物のときから意識しておくと
MRを行ったときに「違い」に気が付きます。
●あの商品、なくなってしまったな。なぜだろう?
●あの商品、場所が変わったな。なぜだろう?
●あの商品、ずっと長い間目立つところに置かれているな。なぜだろう?
などなど。
さあ、今日からお買い物をするときには欲しいものだけを見るのではなく
ギンギンに目を光らせながら売り場を舐め回すようにチェックしてみてください!高いデザイン事例集などを購入しなくても
無料で学べる最強の場所です。
※ただ、売り場の写真は取っちゃ駄目ですよ!怒られます。。。
僕は記憶に焼き付けて、
忘れないうちにダッシュで駐車場まで戻ってメモを取り、
また売り場に戻る、という怪しい繰り返し行動をいつもしています🤩
普段からMRを行っているとある時フッと降りてくるんです。
「あ、こんなアイデアどうだろう!」と。
これは単なる思いつきや勘ではありません。
普段からマーケットを理解しているからこそ
何か商品を見たり、サービスに触れたりしたときに
「あれ、これって別のことに使えるかも!」
「あれ、これってあの商品の課題解決に活かせるかも!」
と、天からアイデアが降ってくるんです。
アナロジー思考、とも言いますね。
仕事でアイデアを出すときにも
スラスラとたくさんのアイデアが出てくるのです。
とにかく【連想ゲームに強くなろう!】
アイデアは未完成ほど良いのです。
完成するまで一つのアイデアをこねくり倒していると
手垢まみれでドロドロのアイデアになってしまいます。
そしていざ!というときにはも時代が過ぎ去っております。
そもそも完成なんてありませんからね。
アイデアを出す場合のコツは
「ラッシュ(rush)」です。
つまり「早く」て「大量」にです。
とにかく大量に手で描き出すことで頭の中から掻き出していきます。
その中からキラリと光る原石を拾い上げ磨いていきます。
あなたは連想ゲームは得意ですか?
僕はめちゃくちゃ得意です。
太陽 → 暑い → 夏 → 蚊取り線香 → ぐるぐる → ロリポップキャンディ → 甘い → 砂糖 → 白い → 雲 → ふわふわ → 綿菓子 → 溶ける → 溶岩 → 火山 → ハワイ → モアナ → ディズニー → ディズニーランド → 修学旅行 → 青春 → 学校 → 勉強 → 受験 → お守り → 神社 → 神様 → 天地創造 → 古事記 → 大国主 → 出雲大社 → 神殿 → 大階段 → 階段落ち → 池田屋 → 新選組 → 幕末 → 日本の歴史 → 小学館 → ドラえもん
とこのように永遠に続きます。
ちなみにここまで1分で出してみました。
この連想能力がとても重要になります。しかもスピード感を持って、です。
この訓練をしておくと
「あれ、これって別のことに使えるかも!」
「あれ、これってあの商品の課題解決に活かせるかも!」
と、アナロジー思考が瞬時に発動するのです。
では、おばけさんたちはどのような連想から生まれたのでしょうか。
「メラミンスポンジ → おばけ」
です。すごく簡単に見えますよね。
これは僕達が訓練をしているのですぐに答えに直結出来たのです。
では、簡単に見えるプロセスの中に、どんな連想が隠れていたのか
もう少し細かく分解してみますね。
お掃除はめんどくさくて嫌だ! → お掃除したくなるような気持ちが上がるお掃除グッズは需要があるのか? → そういえば売り場にはそういうアガる商品は少なかった気がする → 商機があるぞ! → ではどんな商品がよいか → 予算や開発にコストがかかるものは無理だ → ブラシやスポンジはどうか? → スポンジなら金型代も少なくできるかも! → かわいいスポンジ、これは売れそうだ! → そういえばメラミンスポンジは四角しか無いぞ → メラミンスポンジの形を変える事はできるのか? → できるとしたらどんな形がいいだろうか? → 動物?ハート?お菓子?フルーツ?う〜〜ん、唐突すぎる → ん、そういえばメラミンスポンジは白いぞ → 色は変えられないか? → う〜〜ん難しそうだ。。 → では白といば → 雪(う〜〜ん弱い) → ん、そういえばメラミンスポンジは使っていたらボロボロになって消えてなくなるぞ → 白くて消えていくもの → おばけ !? → 👻
おばけ!!!🤩🤩🤩
と、こんな感じです。
これを瞬間的におこなったのが
「メラミンスポンジ → おばけ」
です。
商品開発だけではなく課題解決、どんなビジネスシーンででも
この連想能力はとても重要だと思っています。
これに強くなれればアナロジー思考が意識せずに発動します。
苦手だ、、というあなたは紙と鉛筆を用意して
200個、連想してみてください。
これは持って生まれた才能ではなく訓練で身につく技術ですので!
ではせっかくなのでお題を一つ「トマト🍅」で連想してみてください!
とにかく【手を動かそう!】
さあ、アイデアが出たら今度はそれを形にしていく作業
つまり生み出しに入ります。
僕は必ずスケッチを描きます。しっかりしたデッサンではありません。
サムネイル(本来の意味は印刷や美術業界で「親指の爪のように小さくて簡単なもの」という意味です)程度のスケッチです。
スケッチは絶対に手書きでないといけません。
いきなりIllustratorやCanvaなどを使って描き始める人も多いですが
絶対に駄目です。
何故か?
自由じゃないからです。
デジタルツールは決められたシステムの中でしか稼働しません。
人間の発想は本来無限です。
その無限の可能性を頭の中から掻き出すには、
手を動かすしか方法は絶対にありません。
そして商品(プロダクト)やパッケージデザインは
平面ではなく立体です。ですのでスケッチだけではなく
モックアップ(ダミーサンプル)を作っていきます。
その材料となるものはできるだけ本番に近いものを使います。
(そんな事を言ってもどこで買えばいいの。。。お金が掛かりそう。。。)
と、思われるかもしれませんが大丈夫です。
たいてい100円shopで手に入ります。
スポンジのデザインをしたければスポンジをたくさん買ってくる。
そしてそれを切ったりくっつけたりしながら
自分の目指すデザインを考えていきます。
ついでに他社商品の材質や仕様など、すべて学べるのでリサーチもできて一石二鳥です。
ハンガーのデザインならハンガーをいくつか買ってきてパーツごとに分解し組み合わせを変えてみる。
排水溝ネットであればいろいろな生地を試してみる。
木製品なら木の板をノコギリで切ってみる。
箱のデザインなら本番に近い紙の厚みや色味でつくり
商品を中に入れてみる。
スケッチではうまくいっていたものも実際に作ってみると
(あれ。。。なんか違う)
ということなどしょっちゅうです。というか毎度です。
とくにサイズ感や使い勝手、持ちやすさなどは
手で触らないとわかりません。
ですのでしっかりとモックアップを作る必要があります。
ちなみに慣れてくるとスケッチは描かず、
いきなりモックアップを作ってもOKです。
これはこれで思ってもみない発見がありますのでオススメです。
とにかく手を動かす!
では、実際にメラミンおばけスポンジのモックアップを御覧ください!
スタッフさんがメラミンスポンジを買ってきて
カッターでキコキコと切り出した第一号です!
彼女がこの3匹を作り出したとき、あまりの可愛さに悶絶しました。というか爆笑しました。
いびつ!!
ブサイクだけど味がある!!
さあ、そしてこれを図面におこしたものがこちらです。
とにかく【予算で泣く!】
「3種類もアカンよ。。金型代、めっちゃかかるし。どれか1つにして」
と、メーカーさんに言われた僕達は
涙を流しながら(嘘)、泣く泣く右上の1匹だけを残し、
他の2匹にはお化けの世界へと帰っていただきました。
商品開発には必ず「予算」というものがつきまといます。
「なんぼでも使ってええで!!金は湯水じゃ!」と
言ってくれるクライアントさんは絶っっっっっ対に無い!!!です。
それに今回のおばけさんたちは
最終的には、メーカーさんもCan★Doさんも喜んでくれましたので
商品化になりましたが、そもそも弊社から提案したものですので
予算なんて最初から設定されていません。
さらに難易度が高いのが
「かわいい掃除グッズ」という文化が当時は市場にはなく、
(本当に売れるの?掃除グッズは機能性でしょ)
という意見が多数でした。
しかし今ではどうでしょう。売り場には
動物やフルーツの形をしたスポンジがたくさん並んでいますよね。
僕達は単におばけの形をしたスポンジを提案したのではなく
そういう「かわいい掃除グッズ」という文化も同時に提案しました。
つまり市場を自分たちで作ったのです。
これがとても大事です。
話を戻しますね。そんな状況での予算配分でしたので
当然パッケージ(包装)に使える予算も雀の涙です。
最終的にはパッケージデザインに使える色数は3色になってしまいました。
少ない。。。
それに今回はOPPの袋です。つまりグラビア印刷ですので
必ず白を下地に塗らないといけません。
白を敷かないとどうなるかと言うとセロファンのように
色が透けて見えてしまいます。
つまり、白は確定。
おばけ感は絶対出したいので黒を使いたい!
そうすると後1色です。。。
そしてバイヤーからは「可愛く!」という指示が来ておりました。
黒じゃ可愛さがでない。。。どうする!
そこでまた連想です。
おばけ → こわい → でもかわいい → かわいいおばけ → たのしいおばけ → 楽しいお化け屋敷 → ホーンテッドマンション → ディズニーランド! → プリンセス! → プリンセスはピンク!(勝手な想像です) → ディズニーのようなキラキラ! → ピンクをうまく使った装飾をつけよう!!!!
こうして無事完成したのがこのパッケージデザインです。
商品名の上にキラキラとした飾り装飾をあしらうことで
一気に画面全体が可愛くなりました。
予算がなければ知恵を出す!
これがデザイナーに求められるスキルです。
とにかく【世界観の住人になろう!】
さて、そんなパッケージデザイン作成でもう2つこだわったのが
「表示」と「キャッチコピー」です。
まずヘッダー部分に「👻×9匹入」と表記してみました。
これは結構チャレンジだったんです。
こういったパッケージデザインには
「きちんと表記しなさい」というルールがあります。
つまり本来なら「9個入」でないといけません。
しかし!ここまできたら徹底的に遊びたい。。。
そんな欲望は絶対に我慢したらいけません。
一旦、提案してみる。
この勇気をあなたも持ってくださいね!
これはバイヤーからも「めちゃくちゃ9匹ってかわいい!」と
お褒めをいただきました。
そしてキャッチコピーです。
おばけが吹き出しでセリフを言っている、そんな見せ方を選びました。
そして内容です。ここも本来は消費者にとってのメリットやベネフィット、
セールスポイントなどをわかりやすく端的に表記するべきです。
ですが、ここまで来たら!です 笑
メラミンスポンジの特徴とおばけの特性をドッキングさせた
「汚れと一緒に僕も消えるよ〜」が生まれたのです。
このキャッチコピーはSNSで大バズリしました。
「なんて献身的なんだ!」
「自分の命と引き換えに汚れを落とすなんて」
「切ない」
「表情とのミスマッチが余計に愛おしい」
「哲学的だ」
など、半永久的にこういうポストが今でもXに溢れております。
このセリフは世界観をしっかり理解しているので
考えずにポンっ!と出てきました。
パッケージデザインを組んでいるときに本当にさらっと出たので
気がついたらありましたね。意識した記憶がない!
たぶん本当にこのおばけさんが
口に出して言ってくれていたのかもしれませんね。
商品やサービスをしっかり理解する事ができれば
さらっと出てくるものなのです。
理解していない、その世界の住人になっていないと
こねくり倒した言い回しや、カッコつけた言葉遊びの
熱量の無いキャチコピーになってしまいます。
ですので、しっかりとその商品を理解してみてくださいね。
まとめ
さあ、いかがだったでしょうか。
最後に簡単にまとめますね。
とにかく普段から売り場をチェックし、あれこれと連想し、心が動いたらすぐにその熱量で手を動かす!そうすることでその世界にどっぷりと浸かることができるので自然に最適な形やプロモーション方法が生み出される。
そして、予算との戦い!
ご参考になりましたでしょうか!
では!
Podcast【農業デザイン!アグデザ】でもおしゃべりしておりますので
よろしければ聴いてみてください!
voicyの方はこちらからお聴きください!